「いま、会いにゆきます」を読んだ感想

 私は市川拓治の「いま、会いにゆきます」を地元の図書館で借りて読みました。

 この小説の主人公は司法書士事務所に勤める29歳の男性です。高校時代の同級生と結婚し、子どもをもうけましたが、その後妻は亡くなりました。シングルファザーとなった主人公は、妻が亡くなった1年後の六月のある日、息子と一緒にいつも行っている工場跡に行きましたが、そこでその妻を見かけました。主人公は亡くなった妻が幽霊となって会いに来たのではないかと思いました。なぜなら亡くなる前、妻は二人がどのような生活をしているのか確かめにこの六月に戻ってくるということを話していたからです。そこで彼は妻を自宅のアパートに連れて行き、息子と一緒に3人の生活が始まりました。それから妻や周囲の人とのさまざまな出来事を通して、主人公が幽霊だと思い込んでいた彼女の正体が分かっていきます。タイトルの「いま、会いにゆきます」の意味も分かります。

 この小説は会話文が非常に多く、とても読みやすかったです。過去の話も途中で入りますが、話の展開は分かりやすく、謎も気になってどんどん読み進めていきました。話中にある伏線も読んでいくうちに回収されて、こういうことだったのかと驚きがありました。情景描写や心理描写が分かりやすく、まるで登場人物が実際動いているのを想像できるかのようでした。この小説はとても面白く、読み応えがありました。